「妊娠したいからと葉酸サプリを飲まなければ!」
この考えは正しいのでしょうか?
そして、なぜ妊婦に葉酸が必要なのか、今さら聞けない本当のところを解説します。
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妊活(妊娠したい人)で葉酸サプリを飲んでも妊娠するわけではありません
検索大手のYahoo!知恵袋の中で、次のような質問が多く見られます。
葉酸サプリを妊活に取り入れている方、いた方に聞きたいです。
妊活中の30代です。
妊活を始めて3カ月ほどですが、まだ結果には結び付いていません。
健康に赤ちゃんが生まれてくるように葉酸を摂取しようと思ってい
るんですが、飲んでみて良かったなどオススメできるサプリはありますか?
また、葉酸サプリを飲む事で妊娠しやすくなったりすることはあるんでしょうか?
引用:Yahoo!知恵袋より
妊娠を希望される気持ちは痛いほどわかります。
また、どうにかして葉酸サプリに頼りたい気持ちもわかります。
ただ、葉酸サプリを飲んだからといって妊娠しやすくなるということはありません。
ではなぜ、妊婦に葉酸が必要なのでしょうか?
葉酸が必要な本当の理由は「胎児の先天異常の予防」のため
妊婦が葉酸を摂る必要がある理由の一番は、胎児の先天異常の予防です。
海外の報告で胎児の先天異常の予防についてこう報告されています。
欧米を中心とした疫学研究の中で、妊娠可能な年齢の女性等へのビタミンBの一種である葉酸の摂取が二分脊椎などの神経管閉鎖障害の発症のリスクを低減することが報告されています。
1993年ボストンでの研究では、葉酸0.4mgを含む総合ビタミンを毎日、最終月経の28日前から28日後までの間使用した結果、約40%のリスク低減が認められました。
参照:Werlerら、1993 症例対照研究ボストン、フィラデルフィア、トロントNTD症例と主な先天異常の対照例より
厚生労働省も報道発表資料の中で、妊婦に対する葉酸の必要性について同じように伝えています。
葉酸の摂取により一定の発症リスクの低減がなされるものと考えられることから、現時点で得られている妊娠可能な年齢の女性等の葉酸摂取による神経管閉鎖障害のリスク低減に関する科学的な知見について正確に情報提供を行うことが必要と判断
引用:厚生労働省「神経管閉鎖障害の発症リスク低減のための妊娠可能な年齢の女性等に対する葉酸の摂取に係る適切な情報提供の推進について」より
「妊娠できた!」などの口コミは勘違い
「妊娠できた!」などの口コミには十分な注意が必要です。
葉酸サプリは薬ではなく「食品」の部類に分けられ、その効果などをうたうことができないからです。
その中でも栄養補助食品というカテゴリーに分けられ、日常生活で不足しやすい栄養成分の補給や特別の保健の用途に適する食品のうち、錠剤・カプセルなど通常の食品の形態でないもの、サプリメントという意味で使用されています。
薬事法第2条の中でも、
栄養補助食品は、あくまでも食品で、医薬品ではないのでその表現には十分に気をつけたい。
引用:薬事法第2条Ⅰの(3)医薬品的な効能効果の暗示より
と取扱いが厳しく制限していますので、そもそも「妊娠に効果があった」などと記載することはNGのはずです。
そもそも葉酸に妊娠を促すような効果はありません。
葉酸は、
- 赤血球の形成を助ける
- 神経細胞の成長促進
- 胎児の先天異常の予防
の3つが主な働きです。
結果として妊娠したことが事実でも、葉酸サプリのお陰で妊娠したという表現は根拠がありませんので十分に注意しましょう。
これらのことからも、葉酸サプリを取らなければ妊娠できないような情報は間違い・勘違いだということがわかります。
妊活サプリってないの?
不妊の要因の約50%は男性にあるって知っていますか?
私たち夫婦も第二子を授かりたくて妊活しましたが(無事に2018年4月に授かりました)、そのときにお世話になったのが不妊治療と男性用妊活サプリでした。
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私たちがお世話になった男性用妊活サプリの体験談はこちらの姉妹サイトにまとめていますので、男性不妊が気になる方はぜひご覧ください。
妊娠前後の葉酸摂取は厚生労働省も摂取を推奨している
それでも、葉酸は妊娠中の女性にとって必要な成分であることにかわりはありません。
そのことは厚生労働省が推奨していることからもわかります。
なぜ厚生労働省が葉酸摂取を推奨しているの?
厚生労働省は「日本人の食事摂取基準(2015年版)の概要」の中で、次のように説明しています。
妊娠を計画している女性、または、妊娠の可能性がある女性は、神経管閉鎖障害のリスクの低減のために、付加的に 400µg/日のプテロイルモノグルタミン酸の摂取が望まれる。
引用:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015 年版)の概要」より
また、妊娠の初期・中期・後期において、葉酸の摂取目安を次のようにまとめています。
1日の推奨摂取目安 | 妊娠初期・中期・後期の推奨摂取目安 | |
18~29歳(女性) | 240μg | +240μg |
30~49歳(女性) | 240μg | +240μg |
葉酸は主にホウレンソウなどの野菜から摂ることができますが、食べ物から摂れる天然葉酸(ポリグルタミン酸型葉酸)はその吸収率が50%ほどと効率が悪いので、サプリなどの健康食品などで吸収率のよいモノグルタミン酸型葉酸を摂ることがすすめられています。
モノグルタミン酸型葉酸は合成葉酸ともよばれ、天然葉酸よりも効果的なことから、葉酸を摂るなら「モノグルタミン酸型葉酸」を選ぶようにしましょう。
葉酸を飲むタイミングは?いつからいつまで飲めばいいの?
葉酸を飲み始めるタイミングは妊娠1ヶ月以上前からです。
時期 | いつからいつまで? |
飲み始める時期 | 妊娠の1ヶ月以上前 |
飲み終える時期 | 妊娠3ヶ月まで |
妊娠がわかってから飲みはじめても効果はあるといわれていますが、一般的には飲み始めるのを忘れてしまうことが多いことから、「妊娠1ヶ月以上前」とされています。
そして、先天異常の多くは妊娠直後から妊娠10週以前に発生しており、特に中枢神経系は妊娠7週未満に発生することもわかっていますので、少なくとも妊娠3ヶ月までは飲むようにしましょう。
葉酸以外のビタミンやミネラルも必要なの?
厚生労働省では「妊産婦のための食事バランスガイド」の中で、妊婦に不足しがちな栄養素について触れています。
妊娠時の貧血を防ぐための鉄分、胎児の体の形成のためのカルシウム、鉄の吸収を助けるビタミンC、葉酸と同じく造血作用のあるビタミン12など、さまざまな栄養素を摂るためにはバランスのとれた食事をとることが重要です。
ただ、妊娠中はつわりなどで食事の回数増減したり、偏った食事内容などにより栄養のバランスが崩れることもあるので、サプリなどの栄養補助食品で不足しがちな栄養を補うことをおすすめしています。
参照:厚生労働省「妊産婦のための食事バランスガイド」より
薬局と通販どちらかおすすめ?葉酸サプリの選び方
葉酸サプリは薬局で購入できるものと、通販で購入できるものがあります。
それぞれに特徴が異なりますので、あなたに合ったものを選ぶ必要があります。
薬局で購入できる葉酸サプリは「必要最低限」
薬局で購入できる葉酸サプリの特徴は、
必要最低限の成分
続けやすい価格
いつでも購入できる
この3点です。
配合されている成分が多ければ多いほど価格は高くなる傾向にあるサプリの中で、必要最低限の成分に絞った商品は、1ヶ月分が数百円とコスパにも優れています。
必要な成分のサプリを複数合わせて購入するなどの使用方法を希望の方は、薬局で購入できる葉酸サプリを選ぶとよいでしょう。
ただし、サプリの併用によって成分が重複して過剰摂取にならないように注意しましょう。
薬局で購入できるサプリのおすすめ商品については、薬局で購入できる葉酸サプリ(ディアナチュラ、DHC、ピジョン)の成分・安全性・価格比較に詳しくまとめていますのでご覧ください。
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薬局で購入できる葉酸サプリ(ディアナチュラ、DHC、ピジョン)の成分・安全性・価格比較
葉酸サプリは薬局でも購入することが可能です。 薬局で購入できる葉酸サプリの中でもおすすめの3つの葉酸 ...
通販で購入できる葉酸サプリは「トータルで妊娠・出産をサポート」
通販で購入できる葉酸サプリの特徴は、
葉酸以外に妊婦に不足しがちなビタミンやミネラルを摂取できること
妊娠から出産・産後までサポートできること
妊娠中もキレイでいたい方のために美容成分も含まれているものもあること
この3点です。
医師の中でも、葉酸サプリに葉酸以外の成分は必要ないという意見があるのも事実ですが、厚生労働省の発表している「神経管閉鎖障害の発症リスク低減のための妊娠可能な年齢の女性等に対する葉酸の摂取に関する情報提供要領」では、妊婦の摂るべき栄養素についてこうまとめています。
妊娠可能な年齢の女性に関しては、神経管閉鎖障害の発症リスクを低減させるためには、葉酸摂取が重要であるとともに、葉酸をはじめその他ビタミンなどを多く含む栄養のバランスがとれた食事が必要であること。
妊娠を計画している女性に関しては、神経管閉鎖障害の発症リスクを低減させるために、妊娠の1か月以上前から妊娠3か月までの間、葉酸をはじめその他のビタミンなどを多く含む栄養のバランスがとれた食事が必要であること。
なお、野菜を350g程度摂取するなど、各食品について適正な摂取量を確保すれば、1日0.4mgの葉酸の摂取が可能であるが、現状では食事由来の葉酸の利用効率が確定していないことや各個人の食生活によっては0.4mgの葉酸摂取が困難な場合もあること、最近の米国等の報告では神経管閉鎖障害の発症リスク低減に関しては、食事からの摂取に加え0.4mgの栄養補助食品からの葉酸摂取が勧告されていること等の理由から、当面、食品からの葉酸摂取に加えて、いわゆる栄養補助食品から1日0.4mgの葉酸を摂取すれば、神経管閉鎖障害の発症リスクが集団としてみた場合に低減することが期待できる旨情報提供を行うこと。
このことからも、葉酸だけでなくビタミンやミネラルが必要なことは明らかで、しかも食生活が乱れがちな妊娠中には栄養のバランスがとれた食事をすることが難しいことが多いことから、サプリなどの栄養補助食品を上手に利用して、不足しがちな栄養素を摂る必要があります。
薬局で購入できる葉酸サプリと通販で購入できる葉酸サプリの比較などは葉酸サプリは薬局と通販どちらで購入するほうがいいの?に詳しくまとめていますのでご覧ください。
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葉酸サプリは薬局と通販どちらで購入するほうがいいの?
葉酸サプリは、薬局でも通販でも購入することができます。 しかし、どちらの葉酸サプリを選べばいいのか迷 ...
まとめ
葉酸サプリを飲んだからといって妊娠しやすくなることはありません。
ただし、妊婦にとって葉酸やその他のビタミンやミネラルは、不足しがちな栄養素として補うことが厚生労働省でも推奨されています。
過剰な口コミに惑わされることなく、あなたに必要な成分が配合されている葉酸サプリを選ぶようにしましょう。
口コミで葉酸サプリを選ぶときのポイントについては口コミに騙されない!葉酸サプリを選ぶときの注意点に詳しくまとめていますのでご覧ください。
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口コミに騙されない!葉酸サプリを選ぶときの注意点
葉酸サプリを選ぶとき、ネット検索で口コミを探す方も多いと思います。 しかし、間違った口コミを信じてし ...