葉酸サプリを選ぶにあたり、どんな成分が配合されているかをチェックすることは重要なポイントです。
このページでは、以下の3つのポイントについてわかりやすく解説していきます。
本当に必要な成分はどれか、しっかりと知っておきましょう。
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葉酸サプリの成分に一番期待することは胎児(赤ちゃん)の先天異常の予防
葉酸サプリを選ぶときに忘れてはいけないことがあります。
それは、葉酸を摂る理由の一番の理由は、胎児(赤ちゃん)の先天異常を予防するためということです。
アメリカやイギリスでは葉酸の摂取によって、胎児神経管閉鎖障害の発生はこの10年間で約10分の1に減少しました。
一方、日本では、葉酸摂取の重要性の啓発に対する効果が未だ見受けられず、この10年間で胎児神経管閉鎖障害の発生率は漸増(10,000人に約5人の確率)し、アメリカの8倍、イギリスの6倍となっているのが現状です。
イラスト引用:公益社団法人日本産婦人科学会より
なぜ日本で葉酸の摂取を推奨しているのに、この10年で発症が増えてるかというと、葉酸摂取を心がけた妊婦は全体の0.67%とごく少なかったからとされています。
この結果は、日本産婦人科学会の「わが国における妊婦の葉酸摂取状況」というページにも掲載されており、まだまだ日本人女性の妊婦の葉酸摂取が少ない現状にあるということがわかります。
これらのことからも、葉酸サプリの最大の目的は胎児の先天異常の予防であるということを忘れてはいけません。
参照:日本産婦人科学会「わが国における妊婦の葉酸摂取状況」より
参照:日本二分脊椎症協会より
そのために必要なのは合成のモノグルタミン酸型葉酸
葉酸には、おもに食物から摂ることができるポリグルタミン酸と、合成葉酸とよばれるモノグルタミン酸の2つがあります。
葉酸の種類 | 特徴 |
ポリグルタミン酸 |
|
モノグルタミン酸 |
|
「天然」と「合成」と聞くと、特に体のためを思えば「天然」を選びたいところですが、体内での吸収率を考えると天然のポリグルタミン酸400μgは合成のモノグルタミン酸200μgに相当します。
葉酸に関していえば迷わず「合成」の葉酸を選びましょう。
葉酸以外の成分がどれくらい配合されているかもポイント
葉酸サプリで一番重要な成分はもちろん葉酸です。
そして、葉酸サプリの中には、葉酸以外にも妊婦に必要な(不足しがちな)ビタミンやミネラルが含まれているものがあります。
厚生労働省のデータによる妊婦に必要な栄養素
葉酸サプリの中にどのような成分・栄養素が配合されているか、本当に必要な量が配合されているか、それが重要です。
厚生労働省のデータでは、妊婦に必要な栄養素を次のようにまとめています。
栄養素 | 非妊娠時の推奨量・目安 | 妊娠時の付加量 |
ビタミンA | 18~29歳:推奨量650μgRE/日 30~49歳:推奨量700μgRE/日 |
初期:0 中期:0 末期:+80μgRE/日 過剰摂取は胎児奇形のリスクがある。耐容上限量は2700μgRE/日 |
ビタミンB1 | 推奨量1.1mg/日 | 初期:+0.2mg/日 中期:+0.2mg/日 末期:+0.2mg/日 |
ビタミンB2 | 推奨量1.2mg/日 | 初期:+0.3mg/日 中期:+0.3mg/日 末期:+0.3mg/日 |
ビタミンB6 | 推奨量1.2mg/日 | 初期:+0.2mg/日 中期:+0.2mg/日 末期:+0.2mg/日 |
ビタミン12 | 推奨量2.4μg/日 | 初期:+0.4μg/日 中期:+0.4μg/日 末期:+0.4μg/日 |
葉酸 | 推奨量240μg/日 | 初期:+240μg/日 中期:+240μg/日 末期:+240μg/日 妊娠初期の葉酸欠乏は、胎児の神経管閉鎖障害の発生原因となる。 |
ビタミンC | 推奨量100mg/日 | 初期:+10mg/日 中期:+10mg/日 末期:+10mg/日 |
鉄 | 18~29歳(月経なし):推奨量6.0mg/日 30~49歳(月経なし):推奨量6.5mg/日 |
初期:+2.5mg/日 中期:+15.0mg/日 末期:+15.0mg/日 |
カルシウム | 推奨量650mg/日 | 初期:+0 中期:+0 末期:+0 |
マグネシウム | 18~29歳:推奨量270mg/日 30~49歳:推奨量290mg/日 |
初期:+40mg/日 中期:+40mg/日 末期:+40mg/日 |
亜鉛 | 推奨量8mg/日 | 初期:+2mg/日 中期:+2mg/日 末期:+2mg/日 |
銅 | 推奨量0.8mg/日 | 初期:+0.1mg/日 中期:+0.1mg/日 末期:+0.1mg/日 |
ヨウ素 | 推奨量130μg/日 | 初期:+110μg/日 中期:+110μg/日 末期:+110μg/日 |
セレン | 推奨量25μg/日 | 初期:+5μg/日 中期:+5μg/日 末期:+5μg/日 |
参照:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015 年版)の概要」より
また、厚生労働省は「妊産婦のための食生活指針 」の中でも、妊婦に必要な栄養素についてこうまとめています。
- 妊娠前から、健康なからだづくりを。
- 「主食」を中心に、エネルギーをしっかりと。
- 不足しがちなビタミン・ミネラルを、「副菜」でたっぷりと。
- からだづくりの基礎となる「主菜」は適量を。
- 牛乳・乳製品などの多様な食品を組み合わせて、カルシウムを十分に。
- 妊娠中の体重増加は、お母さんと赤ちゃんにとって望ましい量に。
- 母乳育児も、バランスのよい食生活のなかで。
- たばことお酒の害から赤ちゃんを守りましょう。
- お母さんと赤ちゃんの健やかな毎日は、からだと心にゆとりのある生活から生まれます。
引用:厚生労働省は「妊産婦のための食生活指針 」より
妊婦に必要な成分の優先順位をしっかりと見極めることが大事
たくさんの成分が配合されているから「優れたサプリ」ということではありません。
妊婦に必要な成分は何か?
自分に不足している栄養素は何か?
不足していない成分は何か?
この3つのポイントを自分自身に当てはめてみて葉酸サプリを選んでみましょう。
危ない添加物が含まれていないか?
サプリを使用するなら「無添加のものを選びたい」というのは当然かもしれません。
添加物とは、保存料、甘味料、着色料、香料など、食品の製造過程または食品の加工・保存の目的で使用されるものをいい、厚生労働省でも食品添加物の安全性について食品安全委員会による評価を受け、人の健康を損なうおそれのない場合に限って、成分の規格や、使用の基準を定めたうえで、使用を認めています。
指定添加物
食品衛生法第10条に基づき、厚生労働大臣が定めたものです。安全性について、食品安全委員会の評価を受けて、個別に指定されます。(ソルビン酸、キシリトールなど)
既存添加物
平成7年に食品衛生法が改正され、指定の範囲が化学的合成品のみから天然物を含むすべての添加物に拡大されました。法改正当時既に我が国において広く使用されており、長い食経験があるものについては、例外的に、法改正以降もその使用、販売等が認められることとなっています。(クチナシ色素、柿タンニンなど)
天然香料
動植物から得られる天然の物質で、食品に香りを付ける目的で使用されるもので、基本的にその使用量はごく僅かであると考えられます。(バニラ香料、カニ香料など)
一般飲食物添加物
一般に飲食に供されているもので添加物として使用されるものです。(イチゴジュース、寒天など)
引用:厚生労働省「食品添加物」より
ただ、いくら厚生労働省が使用を認めているとしても、その成分が赤ちゃんや母体へ何かしらの影響があるなら使用は控えたいものです。
では、注意すべき添加物とはどのようなものなのでしょうか。
注意すべき添加物一覧
添加物 | 注意指数 |
---|---|
ショ糖脂肪酸エステル | ★★★ |
アセスルファムK | ★★★ |
着色料・香料 | ★★ |
アカシアガム・アラビアガム | ★★ |
増粘多糖類 | ★ |
ステアリン酸Ca | 問題なし |
セルロース | 問題なし |
還元麦芽糖水飴・麦芽糖・マルトース | 問題なし |
還元パラチノース | 問題なし |
ゼイン・ツェイン・トウモロコシたん白 | 問題なし |
デキストリン | 問題なし |
注意すべき添加物はどんなもの?
ショ糖脂肪酸エステル(乳化剤)
粘りを与えて錠剤を成形しやすくするための増粘剤です。
砂糖と脂肪が結びついたもので、大量摂取で下痢をする場合がありますが、錠剤程度の分量なら問題ありません。
しかし、妊娠中の場合赤ちゃんの染色体異常や奇形を招くという説もあるので、妊娠中のひとは避けたほうがいいでしょう。
アセスルファムK(アステルパーム)
錠剤を飲みやすくする人工甘味料で、赤ちゃんの奇形や脳障害を招くという説があります。
安全性試験では問題ないとされていますが、妊娠中のひとはできるだけ避けたほうがいいでしょう。
着色料・香料
タール系色素は特に危険で奇形やガンを招くという説がありますので注意が必要です。
食用で認められているサリチル酸メチルなどは過剰摂取すると腎臓や胃に影響すると言われています。
アカシアガム・アラビアガム
粘りを与えて成形しやすくするための増粘剤で、まれにアレルギーを起こす可能性あるので体質によっては注意が必要です。
ただし「合成」よりも「天然」がすべて優れているわけではない
ただ、葉酸サプリを選ぶうえで「天然由来の成分」が「合成成分」に比べて、その品質や安全性が上ということではありません。
厚生労働省の「健康食品の正しい利用法」の中で、
天然由来品が、合成品に比べて、品質・安全性が上位だという証拠はない。
アレルギーの原因になりやすい。
産地、収穫時期、天候などの条件によって品質が一定しない傾向がある。
いろいろな成分が含まれており、含有する全ての成分が明らかとなっているわけではない。
有害物質・不純物などが除去されていない可能性もある。
引用:厚生労働省「健康食品の正しい利用法」より
とあり、「天然」や「自然」という言葉に惑わされないように注意喚起がされています。
特に葉酸についていえば、天然のポリグルタミン酸型葉酸よりも、合成のモノグルタミン酸型葉酸のほうが吸収率がよくおすすめです。
これらのポイントをしっかりと把握しながら葉酸サプリを選びましょう。